「ないしょ ないしょ ないしょのはなしは あのねのね」という童謡は、皆さまご存じかと思います。
現代において「ないしょ」という言葉は、「内緒」という漢字で表され、「表向きにせず、内々にすること。秘密。内密。」という意味に使われます。
この「ないしょ」は、仏教用語「内証」(ないしょう)から転じた言葉だとされています。
「内証」(ないしょう)とは、自分の心の中で覚ること。またその覚りそのものを表します。
本来の「内証」とは、如来、仏の悟りの境涯を意味するので、心内の悟りを「自内証」ともいいます。
この「内証」に対して、外に現れた利他の働きを外用(げゆう)といいます。
これらを合わせて「内証外用」(ないしょうげゆう)と総称し、密教を中心に用いられていたりします。
人間が容易にうかがい知ることができないということを強調して用いられる言葉、つまり仏さまの御心のことだった言葉が紆余曲折(うよきょくせつ)を経て、
「他者のうかがいしれない内面の世界」というところから、「おもてむきでない」「内密の」という意味で使用されるようになり、
「人には言えない内密の」という意味が現代に残り、発音も「ないしょう」から「ないしょ」へと変化していったようです。
このように、現代で一般に使用されている「内緒」(内所)という言葉は仏教用語の「内証」から転じた当て字だったものですが、
新明解国語辞典では「内緒」のみが採用されていて、そこの解説に「内証」の転と書かれていますので、現代ではこちらが一般認識となっています。
参考 『JA葬祭みやぎ』HP、『浄楽寺』HP、『大谷大学』HP、『ドット模様のくつ底』HPほか